APOLLO (Air Pollution Observation)/Anu: 宇宙からの大気汚染物質観測

大気汚染と健康被害

Air Pollution and Human Health, Climate Change
* SLCPs: 対流圏O3, NO2, CO, CH4, Aerosol (PM2.5)

地球環境に与える人間活動の負荷は21世紀に入り拡大の一途をたどっています。その中で大気の環境や気候を安定に保ち、将来に渡る持続可能性を堅持することはきわめて重要です。

SLCPsは人類の健康や穀物生産に重大な影響を与えます。呼吸器疾患を含む早死件数は毎年310万人以上、穀物被害は3000万トン以上にのぼります。またごく最近、地球温暖化による上昇温度幅を2℃以内に抑制するためには、長期的なCO2対策に加えて、ブラックカーボン(すす)・メタン・対流圏オゾン等のSLCP(短寿命気候汚染物質)の削減対策を合わせて行うことが重要との新しい知見が得られました。

すみやかなSLCPsの抑制を目的に短寿命気候汚染物質削減のための気候と大気浄化の国際パートナーシップ「Climate clean air coalition/ CCAC」が2012年から国連環境計画(UNEP)の元に設立されました。G8でも積極的に取り上げられるなど、世界の動きが急激に活発化しています。

環境問題の推移
                        

UNEP&WMOより
UNEP&WMOより

G8記事
The Green Market Oracle より

そこで、我々のAPOLLOミッションでは、日本および世界のSLCP大気汚染状況とその発生源、プロセスを理解することを目的として、国際宇宙ステーションから大気環境の観測を行います。その際には、かつてない高い空間分解能(1km程度)での測定によって、発生源の特定を目指します。また、対流圏オゾンについては高度ごとの観測を実現して、健康に影響する分を把握できるようにします。

APOLLO
国際宇宙ステーション日本実験棟 (C)JAXA

健康被害の改善取り組みや気候変動対策の指針作りを後押しするとともに、その効果の把握検証までを可能として、日本だけでなくアジアや全世界に住む人々の日常生活の改善に直結する情報を得る計画です。