APOLLOのターゲット

(1) 日本やアジア地域を含む世界各国の大都市で、どの排出源からどのくらいのSLCPが大気中に排出されているかを明らかにする。合わせて、SLCPの時空間変動をもたらす物理化学的なプロセスを解明する。

SLCP排出インベントリの精度向上

SLCPの排出源は世界的にどのように分布しているか?巨大な定点排出源やこれまで知られていない排出源を特定し、SLCPの排出量を把握することができるか?これにより、気候・大気環境改善の戦略シナリオを最適化できるか?

都市における光化学スモッグの抑制

新しく得られる高空間分解能の観測データをもとに、都市などにおけるNOx濃度の実分布を、空間平均化で薄めることなく把握できるか?都市域におけるオゾンの光化学生成に伴う非線形性の取り扱いを改良したモデルを構築し、都市域における光化学スモッグの抑制戦略を適切に構築できるか?

自然災害が大気組成や環境に及ぼす影響の理解

森林火災、ダスト発生、火山噴火など大規模な現象は、大気組成の変化を通じて、大気汚染・気候変化などにどのように影響しているか?

APOLLOの目標:水平分解能

(2) 大気汚染の主要物質である対流圏オゾンについて、役割の異なる地表付近、自由対流圏、上部対流圏を分離して、グローバルな動態の解明と影響度の評価を行う。

対流圏オゾンの収支

人間の健康や生態系に直接影響する地表付近のオゾン、半球規模で輸送される自由対流圏のオゾン、気候影響に重要な上部対流圏オゾンについて、その全球の分布に、化学過程・長距離輸送・成層圏対流圏交換・対流等鉛直輸送拡散過程がどのように影響しているか?

対流圏オゾンの気候影響

このような収支の理解を通じて、二酸化炭素、メタンに次いで大きい対流圏オゾンによる気候影響を、直接・間接的影響の両方について、より精度良く決められるか?

対流圏オゾンの環境影響

地上観測ネットワークでは観測を行っていない山岳地域などにおける地表付近のオゾン濃度を得ることで、森林衰退や農作物の収率現象などにオゾンが及ぼす影響の推定を大陸規模で改良できるか?

対流圏オゾン 3つの顔

(3) アジアにおけるエアロゾルについて、ブラックカーボンやPM2.5など、気候や健康に影響を及ぼすエアロゾルの広域的な分布や時間変動を明らかにする。

エアロゾルの変動と健康影響

ブラックカーボンなどエアロゾルの排出量が多いアジアとその下流域において、光吸収性エアロゾルや微小粒子はどのような空間分布・時間変動をしているか?健康影響レベルを超過する程度の大規模なヘイズの発生について、化学的・気象的メカニズムを明らかにする。

エアロゾルと雲の気候影響

エアロゾルと雲の空間分布を高分解能で把握することで、雲・エアロゾル相互作用の定量的理解を進め、不確実性が高いエアロゾルの気候影響をより正しく評価することができるか?